今年もまた、夏野菜の定番のキュウリ、ゴーヤ、トマトそして茄子を植え付けました。
自宅で栽培した野菜をそのまま味わえる家庭菜園に憧れて、ここ数年、夏野菜作りに挑戦しているところです。ネットで検索すると、夏野菜の中でも茄子は、育てやすく、しかも花が咲けば無駄花というものが無くみんな実になる、初心者にはもってこいの野菜だと出ています。
しかし、我が家では、去年も一昨年もその前も、花は咲いても実になることがなく、ご近所の庭やプランターで立派な実をつけている茄子を見るにつけ、どうして、どうしてうちだけ実にならないの… と落ち込んでいました。
が、できました。今年は実ができました!しぼんだ花が落ちたあと、そのガクの中に小さな実が! 日に日に膨らみ、立派な茄子になったのです。朝晩たっぷりの水やりを怠らず、追肥も欠かさなかったことが功を奏したのかなぁ…。茄子の花はひとつとして無駄なく実になることを、この夏はじめて実感できました。
いとしとも茄子は花咲く藪畑 山口青邨
うれしさよ鬼灯(ほおずき)ほどに初茄子 岩田涼菟
朝、はさみで切り取った茄子を手にし、しばしみとれてしまいました。採りたての茄子は、ツヤツヤでピカピカ。輝きを放つこの美しさは、まさに紺色の宝石です。この艶めく紺色、あるいは深い紫色の美しさを愛でた句がたくさんあります。
これやこの江戸紫の若なすび 西山宗因
もぎたての茄子の紺やカゴに満てり 星野立子
茄子の紺ふかく潮騒遠ざかる 木下夕爾
茄子は煮たり焼いたり夏の食材として重宝するので、食材として詠んだ句も多く見つけましたが、ここでも茄子の紺色がフィーチャーされています。
茄子漬のあしたの色に執着す 米澤吾亦紅
茄子の紺生かす殺すの廚ごと 中原道夫
初茄子(はつなすび)のきゅっきゅと鳴いて水弾く 真理子
最後はわたしの句。この夏初めて採れた茄子を指先でこすりながら水で洗ったときの句です。きゅっきゅと音がするほどのハリとツヤに感動して詠みました。