今年の梅雨明けは早かったですね。その後の連日の猛暑。そして台風の影響による集中豪雨。この夏も熱中症と自然災害が心配です。
毎年梅雨には、雨の中でアガパンサスが透明感のある青い花を咲かせてくれるのですが、今年は雨の時期が短く、暑さが厳しかったせいか、青い色に冴えがなく元気がないようにみえます。
この時期の季語には、入梅、梅雨、空梅雨など梅雨に関連した言葉がたくさんあります。それぞれの傍題(季語の別称や言い方を変えたもの)も多く、梅雨という季節がいかに日本人の生活に密接しているか、ということだと思います。
さらに、梅雨どきの湿気にまつわる季語もいくつかあります。黴(カビ)もそのひとつ。俳句では梅雨時のやり切れない気分をうたう素材として黴が登場しています。
交響曲運命の黴拭きにけり 野見山朱鳥
食べ惜しみしてゐて黴に捉はれし 稲畑汀子
この時期、ちょっと油断すると食べ物、衣服、靴、書籍、何にでも生えてしまうので油断禁物。先月の末のこと、お仏壇に母の大好物だったお饅頭をお供えしたのですが、うっかり数日間そのままにしてしまったら、お饅頭一面に黴が生えてびっくり。梅雨時はまさに黴には天国ですね。なんて感心してはいけない。お母さん、仏様、すみませんでした。今後は気をつけます。そういえば、去年の梅雨の時期に、本サイトの管理人のMさんがメールで黴について嘆いていらっしゃったことを思い出しました。
Mさんも、買ってきた夏みかんやイチゴなどをお仏前にお供えし、翌日、お母様に食べさせようとお仏壇からおろしたイチゴに、黴がびっしりと生えほとんどが腐っていて驚かれたというのです。Mさんも「流石に梅雨だなぁ」と思われたそうですが、最後に書き添えてあったひとことが気になります。
「こういうとき、俳句でもひねればよいのですよね」
そうか、ではわたしも捻ってみようかな。
俳句仲間の皆さんから、「お供えをカビさせるなんてだめよぉ」と、俳句にではなくて、私のだらしなさにご注意をいただいてしまいました…
亡くなった母の大好物をお供えしたわたしの心情をくみとって、先生が以下のように添削してくださいました。
御仏(みほとけ)の母の和菓子や黴の花
なるほど。御仏という言葉は、仏を敬っていう言葉。亡くなった母に対する感謝と敬いの思いを表現できる言葉だということを学びました。
さて、梅雨が明けてもまだ蒸し暑さは続いています。黴には気をつけましょう!
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