五葉松の美しく揃った緑の葉、ところどころ皮ばかりかと思うほどに曲がりながらもその先端まで瑞々しさを届ける幹。鉢の中にありながら、自然の力強さ、秘めた生命力を表す盆栽には思わず魅了されます。
とても心惹かれるけれど、自分には難しくて近寄りがたくもあった盆栽ですが、一日体験ワークショップというものがあると聞き、行ってきました。
埼玉県の大宮盆栽村にある清香園さん。まだ暑いころにお伺いしたのですが、一歩足を踏み入れただけで、緑あふれる涼やかな空間にほっとします。スタッフの方がにこやかに迎えてくださいました。
盆栽には、一つの鉢に松などの樹を1本のみ植える一盆一樹というものと、樹だけではなくそこに花などもあしらう彩花とがあるそうです。今回、私は、彩花の盆栽を作ることに決め、たくさん並んでいる中から、植えこむ樹とそれに添える草花を選びました。秋に美しく紅葉するもみじと、ツクシカラマツ。そしてそれに合いそうな、鉢を選びます。
作業はまず、鉢を準備するところから開始です。鉢の底には余分な水分を流し出すための穴がありますが、そこから土が流れ出ないように網をワイヤーで固定します。次に、植える植物を固定するためのワイヤーも底の穴から上に向けて入れておきます。そうしたら、まず粒の粗めの土を少し鉢に入れます。次に、モミジの根をほぐして鉢に入れます。
この時、植える樹の樹形や傾き、葉の向きなどから、右流れであるか左流れであるかを見極めます。私の選んだモミジは右に向かっているので、右流れ。この場合は、右側に空間ができるように位置も考えて植えるというように伺いました。空間、これが盆栽のおいて大切なものかもしれません。それがあることで、かえって奥行きや広がりが感じられるような気がします。
ツクシカラマツも入れたら、少し細かい土を鉢の縁まで入れます。そこまで出来たら、固定するために出しておいた針金をねじって植物を固定し、余分な部分を切り落とします。次に水やり。細かく降り注ぐようにたっぷりの水をまんべんなくジョウロで与えます。そして少し時間を置いたところで、苔を敷き詰めていきます。少しおしゃれに白い飾りの小石も入れてみました。
私にしては上出来! スタッフの方にも少し手伝っていただきましたが、モミジがほどよく曲がり(これは私が曲げたのではなく清香園さんが用意してくれていたものですが)、よい間を作っているような気がします。これから秋が深まって色づいたら、また違った味わいになるのでは、と期待いっぱい。ツクシカラマツは6月ごろから桃色の花が咲くらしいので、花が咲くのも今から楽しみです。
スタッフの方が大変丁寧にご指導くださったおかげで、私でも盆栽が、がんばれば作ることができるかもしれないと、思えるようになりました。今回はちょっぴりの体験でしたが、通信講座もあるようなので、曲がる枝を作る方法も勉強できるかなと思いました。盆栽はちょっと敷居が高いかなと思っている方がいらしたら、是非一度、お試しあれ。
取材協力:清香園― https://seikouen.cc/
大宮盆栽村: http://www.city.saitama.jp/006/014/010/003/013/p047067.html
大宮盆栽美術館: http://www.bonsai-art-museum.jp/ja/