加賀百万石の城下町として古くから栄えてきた北陸の都市、金沢。北陸新幹線の開通以来、東京からのアクセスが格段とよくなり、最速で2時間半ほどで行けるようになりました。

金沢と言えば、まず思い起こされるのが兼六園。日本三名園のひとつである兼六園は、江戸時代に加賀藩主前田家の庭園として始まり、改修を重ね、中国・宋の洛陽名園記に記された六勝を兼ね備えるということから「兼六園」と名付けられたそうです。園内には見事に手入れされた松が多く植えられ、また曲水が巡らされて、訪れたのは暑い日でしたが、その水辺はその暑さも少し和らぐように感じられました。霞ヶ池には有名な徽軫灯籠(ことじどうろう)があり、写真を撮ろうとする人たちで賑わっていました。

金沢には、第二次大戦による戦火を免れ、古い町並みが残り保存されている地区がいくつかあります。ひがし茶屋街もそうした地区のひとつで、その歴史は江戸・文政期まで遡ります。お茶屋は、訪れる客に場所を提供する貸し座敷であり、そこで繰り広げられた宴は、贅沢な料理を彩る器や調度品、また舞を披露する芸妓たちの髪を飾る櫛・簪(かんざし)など、優美で繊細な加賀の伝統工芸品で彩られていたことを、お茶屋美術館などで見ることができます。現在は、当時の街並みはそのままに、和風のカフェや和雑貨、また加賀友禅や金箔の専門店などが営業していて、楽しく散歩できます。訪れた水曜日は定休日の店もありましたが、「茶房 素心」で一休み、和菓子とお抹茶を頂きました。

食べものは本当に美味しいものがたくさんあります。近江町市場の海鮮丼、岩ガキ、治部煮、おでん、金箔アイスクリーム、きんつば。お土産のお菓子もどれにすればよいのか目移りして選ぶのに苦労します。

自分用には旅の思い出に残る何かを買いたいですね。金沢には、加賀藩主前田家により保護・育成されてきた伝統工芸が根付き、今も素晴らしいものが次々と創り出されています。加賀友禅、金箔工芸、金沢漆器、加賀繍(かがぬい)、水引など。今回は、九谷焼の素敵なワイングラスを見つけました。伝統的な九谷の色合いが美しい、桜と鳥の模様の美山窯の作。これでワインを頂くのが楽しみです。