ピンクの鈴の柄が愛らしいこの箱は、浅草にある桐の木目込み細工のお店、箱長の桐の箱。桐の箱に、鈴の絵柄を彫りこみ、そこに色柄の美しい布を木目込んで作るのだそうです。
桐といえば、源氏物語の光源氏の母君、「桐壺」が思い浮かびます。中国原産だそうですが、平安の時代にはこのように源氏物語や枕草子にも出てくるなど、日本でも古くからある木です。桐は軽くて、熱や湿気に強いこと、防虫効果があること、収縮率が少なく精密な加工ができることなどから、とくに江戸の頃からは大切なものを保存する箱や箪笥(たんす)の材料として庶民にも広く利用されるようになったそうです。
箱長では、こうした箱の他にも、木目込みを施した製品を多数作っています。桐の材は本来白いものですが、ここではこれを焼いて木目を際立たせ、写真の箱のような趣のある風合いに仕上げる加工もしています。白木の桐の箱もよいですが、このように加工してあると汚れが目立たなくていいなと思います。また、写真の丸い手鏡も、手に取り使うものだから、このような加工がしてあるとバッグに入れて持ち歩いても安心。赤い鞠(まり)に、少し色味を抑えた梅の模様が可憐で、私のお気に入りです。
浅草オレンジ通りのお店には、所狭しと木目込み細工の商品が並んでいます。海外へのお土産にもよさそうな小物入れや写真たて、またソーイングボックスなどもあります。箪笥は、チェストタイプのほかに大きいものも扱っているそうです。手鏡から姫鏡台など鏡もいろいろ。柱鏡という長い鏡は、二面鏡、三面鏡として使える、柱や壁に掛けるタイプの鏡です。絵柄が素敵で、鏡としてはもちろん、和風のインテリアとしてお部屋が引き立ちそうです。浅草を訪ねたら覗いてみてはいかがでしょうか。
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