以前に取り上げた芭蕉布や紅型以外にも、沖縄独特の布地はたくさんあります。450年もの間繁栄した琉球王国によって、ときには人頭税といった過酷な歴史も背景にして、育まれ受け継がれたこれらの布の美しさには目を見張ります。貴重な宮古上布や八重山上布、久米島紬…。首里織は琉球王朝のまさにお膝元で生まれ、多彩な色や織の技法を発展させていき、現在では花織や首里道屯、首里絣、首里手縞など多くの種類に分けられます。幾何学的な文様をベースとした柄はとてもモダンな感じがします。八重山など各地で織られたミンサー織は場所によって少しずつ違うようです。八重山ミンサーに用いられる5つと4つの絣模様は、「いつ(五)の世(四)までも末永く」という意味があるのだそうです。5つと4つの柄を重ねると一つの正方形になるので、強い絆を表しているとも言われます。
第2次大戦の深い傷跡は今なお癒えぬものでしょうが、沖縄ではこうした伝統の布が時代の流れを経て、綿々と受け継がれているのです。
私の沖縄の旅は急ぎ旅でなかなかゆっくりと伝統工芸を観て回るということができませんでしたが、次に沖縄を訪れるときは、ゆったりとした時間と海の色、空の色を楽しみながら、すばらしい布を見てきたいと思いました。