一緒に暮らしている母から和服仕立てのうわっぱりを頂戴しました。縞柄が特徴の会津木綿のものです。薄茶の地色に臙脂(エンジ),うぐいす、こげ茶、青の4本の縦縞模様は、ただ縦長の直線が並んでいるだけなのですが、これがなんともシンプルでしゃれています。色使いもすてき。ざらっとした綿の質感はたまりません。
会津木綿は、江戸時代の初期から福島県会津若松市いったいで織られてきた縞柄の綿織物のこと。時の藩主が会津藩士の妻の内職として機織りを奨励したのがきっかけで発達し、現在まで約400年もの間受け継がれている織物だそうです。妻たちの内職として発達していったせいでしょうか、機織職人の高度な技術で織られた織物と違い、技巧のない素朴な味わいがあります。
それにしても会津の妻たちは頑なに縞模様だけを織り続けています。どこかで絣模様が流行っていても見向きもしない。自分たちの縞にこだわり続けるその気質こそが会津人の頑固さなのだと解説している本があります。しかも同じ会津でも会津若松と喜多方、裏磐梯では縞柄がまったく違うのだそうです。それぞれの土地で育まれた独特の縞柄を土地の誇りとして守り続ける、この一本木な気質がそのまま一直線に伸びる縞模様そのものになっているような気がします。
会津といえばすぐに白虎隊の悲劇を思い浮かべてしまいますが、あの律儀で頑なまでに筋を通そうとした会津人の気質が、たった一枚の布に表れるなんて…。一枚の布に惹かれます。