2月になるといい日を選んで雛人形を出します。ちょっと面倒なのですが、ここは娘のために頑張って重い箱を持ち上げて、ひな壇を作り、飾っていきます。
これとは別に、小さな陶器の雛人形(写真)があります。ずいぶんと前になりますが、新婚時代にデパートで一目見て気に入って買いました。なんともほのぼのとした、いや、はんなり、ともいおうか、その優しい表情に惹かれました。箱には「京陶人形、源氏絵巻、益三作」とあります。ネットで調べてみると、京陶人形の作家、小田益三さんの作品でしょうか。
雛人形といってもいろいろな種類がありますよね。木目込みのお人形もあるし、ちりめんや紙で作ったもの、いろは堂の九谷焼の高砂も味わいがあります。形は違っても「桃の節句」にお人形を飾るというのは、やはり女性にとっては独特の思い入れがあります。
結婚をしたときに雛人形は狭いアパートに置くスペースもなく、実家においてきたまま。雛祭りが近くなってもまだ小さな雛人形さえ出していなかったある日、「お雛様を持ってきてなかったみたいだから」と義母が小さなケースに入った親王飾りのお人形を買ってきてくれました。世間知らずの私は「そうか、お雛様って嫁入り道具にしなければいけなかったのか」と思いましたが、こういった風習は今はどうなっているのでしょうか。私のように狭い新婚家庭にお雛様を持ち込めない人も多いのでは…。
義母にその雛人形をもらったときには、実家にはあるのになぁ、嫁入り道具に持ってこなくていけなかったのかなぁ、などとそう素直に喜ぶ気持ちになれませんでした。けれど、今改めて思うことは、そういう義母も自分の雛人形を持っていたわけではなく、戦争があったり、その後の貧しい時代を生きてきたので、自分の雛人形はなかったかもしれず、そういう寂しい思いから私に雛人形を買ってくれたのかもしれないと。
今年は義母からもらった雛人形もいっしょに飾ってみようかな。あぁ、いけない、広くなったとはいえ、今年はパパの熱帯魚の水槽が玄関に置かれて、あのケース入りのお人形を置くスペースが…。
私の雛人形の思い出ですが…
私が生まれた昔、両親が地元のデパートで五段の雛飾りを注文したそうです。その頃の我が家には、贅沢な品だったのか、給料日前に配達されてしまい、あわてて代金の工面をした…
そんな思い出話を亡き母から、よく聞かされました。
娘が生まれたときも、その雛人形で初節句をすませました。
その後も、何度か飾った年もありましたが、場所は取るし面倒くさいし、最近はずーっと押入れに入ったまま3月3日を過ごしていました。
しかし、今年は思い切って飾ってみました。
二十歳になった娘も、携帯で撮って友達に送ったり、まんざらでもない様子。
でも、実は娘のためではなく、私のために飾った…とは知らないようです。 ヘヘヘ
一個さん。お久しぶりです。コメントを頂いて嬉しく思います。
同じ雛人形を代々受け継いでいくというのも素敵ですね。実家にあった私のお雛様は、引越しなどもあって今は母がお内裏様とお雛様だけを残して飾ってくれているようです。でも、たいてい桃の節句に私が実家に戻ることはできないので、自分では見ることができませんが…。
私の母もお雛様なんて持っていなかったのではないかしら。だって姉妹も多くて下から数えたほうが早いのですから。聞いたことはないけれど。
やっぱりお雛様って、飾ると春の訪れとともになんだか優しい気持ちを運んできてくれるような気がします。
もう古い記事なので、コメントしてもみてくださるかわかりませんが…。
私の母がまったく同じ益三さんのお人形を持っていました。
亡くなった時私がもらったのですが、うっかり落としてしまい、
お内裏様がクビちょんぱに…。
数年探し続けて、やっと作家さんと連絡がとれ、
2月に新作を見せていただくことになりました。
嬉しくてあちこち見て回っていてこちらにたどり着いた次第です。
本当に色合いといいお顔付きといい、上品で素敵なお人形ですよね。
みやーぴーさま
コメントお送り頂き、ありがとうございます。
もう10年ほども前の私の記事を読んでくださったのですね。
まったく同じ作品があって、私と同じく大切にされている方がいらっしゃったこと、また、作家の益三さんが今もご健在で、京人形を作り続けていらっしゃるというのは嬉しい限りです。
今年はまだ腰が重たくてまだ雛人形を出していなかったのですが、コメントを頂いて、さっそく、この小さなお雛様を出してみました。
お内裏様とお雛様がとても仲よく楽しそうで、眺めているだけで気持ちが和んできます。もう17歳になった娘もお雛様を手に取り、とっても可愛いとにっこり。
優しく上品な益三さんのお人形、私もいつかその工房を訪れてみたいものです。